2016-11-13から1日間の記事一覧

「一反田」以後〈Ⅰ〉

ラン 体がすっと持ち上げられた。 これまで経験したことのない高さになったが、ちっとも怖くなかった。 あたかい胸に抱かれて喜びでいっぱいになったとき、 彼女は母親のことも兄弟のことも、すべて忘れていた。 少年は子犬をランと名づけた。 「ラン」 そう…