2017-01-01から1年間の記事一覧

今山物語4

初参加の同級生クリスマス会(会費千円)は楽しかった。 ワイワイやっている内に、訃報が載っていた葉室麟の話から村上春樹やカズオ・イシグロに話題が移って「読んだことないけど、どうなん?」とふられた。「うん、どっちも読んでみたけど、?オレは読まん…

池田紘一先生へ

何から書いたら良いのでしょう。 注文していた『赤の書・テキスト版』が届きました。 でも、それを開いたら、いよいよ書けなくなりそうですので、その前にお手紙を差し上げます。内容はバラバラになります。ご容赦ください。 先生のお話を聞きながらハンナ・…

今山物語3

南原講演の栩木先生による要約を(ざっくりとだけど)読んだ。 読んでいて、めったやたらに気が重たくなった。 若いころなら、きっと昂揚感に満たされたに違いない。でも、いまは、ひたすら重苦しくなる。 南原繁もまた(当然のごとく)進歩主義者だったんだ…

ことば補遺

こ と ば ──W・オーデン── ○大人と子どものちがいは一つしかない。子どもは自分が誰かを知らない。大人は自分が誰かを知ってしまった人間だ。 自分の悩みごとを人に打ち明けても、それが軽くなるわけではないと悟ったとき、人ははじめて子どもであることを…

今山物語2

徳富蘇峰「近世日本国民史」西南の役篇が終わった。 わずか七冊の文庫本を(途中であれこれ寄り道はしたものの)三ヶ月ほどかけて読んだことになる。もちろん著者は昭和19年から7年以上かけて執筆した(途中、占領軍の検閲によって公に出来なかった期間があ…

とび

ドシンという大きな音がしたので階下に降りた。 ガラス戸の向こうに鳶らしき小さな物体を見つけた。 戸を開けようとすると、 「行ったらいかん!母親が近くにおる。」 失神しているだけかもしれないと見守っていたが、いつまでたっても動かないので、玄関か…

今山物語

主人公リードはリッパー・ストリートでもとの部下の下に入って働くことになる。 ロンドンに同道した娘は貧民街でボランティアを始めるが、ある廃墟に入ったとたんに悲鳴をあげる。心配してついて行っていたリードが飛び込んでいくと、息を引き取りかけている…

不染鉄二

不染鉄二の絵をもし野見山暁治さんが見たら、「素人の絵だ」で片付けてしまうかも知れない。でも、印刷物では残念ながら分からないけれど、彼の山や島や岩には、いまにも動き出しそうな不気味な生命感がみなぎっている。それを確かめたくて奈良県立美術館に…

飯塚のことば

「懐かしい言葉」あいうえお順名詞篇 あんぽんたん=かぼちゃ頭≒ピーマン。 インキョ=ビー玉で行っていたゲームの一つ。ルールは「ゲ ートボール」にそっくり。(たぶん説明の時間順が逆) 大阪じゃんけん=負けたが勝ち カツカツ≒ちょきりちょん≒ぎりぎり …

清宮質文

長くなりそうだから、活字にします。 先週でかけた鈍行列車乗り継ぎの旅の報告です。 いろいろあって、朝9時に博多駅を出た初日は、播州赤穂の東横インで荷物を下ろしたのが夜8時を過ぎていた。その間なんど乗り換えたのか。博多⇒小倉⇒下関⇒岩国⇒白市⇒福山…

木履(ぽくり)

木履(ぽくり) 八七歳の恩師を囲んだクラス会は参加者は十人だったけど盛況だった。 企画してくれたCちゃん、割り勘要員という名目で加わってくれたO、I、それに、わずかな酒で大声を張り上げる半端爺々の面倒を文句も言わずにして下さったお店の方々、そ…

FSへ

ジンから「お前の書いてくることは良う分からん。だいいち字が読めん」と言われてしまったので、タイピングします。 あなたがどんな生き方をしてきたのか聞きたかったのに、うまくマングリが合わなくて残念でした。 相当に躊躇して居たのですが、同期会に行…

「アク」について

「アク」について 2017/04/17 「鎌倉幕府滅亡の原因は何か。この難問に対する日本中世史学界の最新の回答をお教えしよう。ズバリ〝分からない〟である。」 『応仁の乱』を感心しながら読んで「あと一冊呉座勇一のをなにか読もう。」 図書館から借りた『戦争…

GFへ

GFへ アマゾンのコンピューターは凄いと思う。 時々、「こんな本は如何ですか?」というメールが届くが、先日は、サロモン・マルカ『レヴィナス 生と痕跡』ときた。さすがは日本の暗号を解読していた国だ。──この著者はひょっとするとオレと似た様なことを…

KSへ

本日は洗濯日和。 大濠の再戦は11時から。この10年間見る番組はスポーツとBBCの刑事物のみ。(例外はNHKBSの『新日本風土記』。どこかの寺で、若い僧侶が泣き叫ぶように、仏をなじるかのように、お経をあげている一場面が紹介されていた。「これが本…

博工生の選んだ歌

博工生の選んだ歌 複数回答制 ○数字が得票数(『てのりくじら』を全部好きと答えた三名のぶんも加算した)⑧前向きになれと言われて前向きになれるのならば悩みはしない 『てのりくじら』/人の気も知らない 無責任な言葉でどれだけの人が苦しむのだろう/「…

博工生の選んだ俳句

博工生の選んだ俳句(上の○数字は投票数)※複数投票制21見上げればこんなに広い空がある 住宅(すみたく)顕信 すごく前向き。/心がすっきりする。/ふだんは当たり前すぎて見上げたりしないけど。/美しい。/とってもいい。/希望がある。/よく分からない…

あぶらやま不定期通信〈10〉

あ ぶ ら や ま 不 定 期 通 信 10 2017/3/15 とうとうまた一年がたってしまった。歳をとるにつれて時間の過ぎ方が速くなっている気がする。今はもうたぶん君たちの2倍の速さ。10年後には3倍? そして5倍〜10倍? この気まぐれな『あぶらやま通信』最終回…

森山優 感想文

Gへ メールを読んだ。 『法隆寺を愛した米国人』については、実はまったく同じ感想を持った。 アメリカは日本と並んで、「やり手婆文化」が瀰漫したいまの世界のなかで、希有なほどナイーブな国。──あとひとつ、スペインを加えよう。あのアメリカ征服はスペ…

KS

ずいぶん気が重たいが、メールをします。 気が重たい理由のひとつは、いま『日本はなぜ開戦に踏み切ったか』(新潮選書)を読み始めていることにある。(これは名著です)まだ半分ほどまでだけど、当時の日本中枢部の錯綜ぶりが実証的に活写されている。政治…

続・二十世紀の俳句 索引

私家版 続・二十世紀の俳句 索引 女性 二〇一六年 かすみ草やさしき嘘に人畢る 赤松螵子春愁や癒えて着られぬ服ばかり 朝倉和枝九十の端(はした)を忘れ春を待つ 阿部みどり女短夜や乳ぜり啼く児を須可捨焉乎(すてちまおか) 竹下しづの女童話書きたし送電線に…

小沢昭一

小沢昭一(昭和四年四月生まれ) 「俳句で綴る半生記」より 昭和四十四年 一月 スナックに煮凝のあるママの過去 二月 麦踏みや背負籠の中の粉ミルク ぎょうざ屋に盆栽の梅枯れてあり 三月 春の爐に雀焼く手のマニキュア 老蠅のちょっと飛んだる暖かさ 九月 …

『津軽』読書感想文

また新年が来ました。 じつは昨秋、あと一ヶ月弱で百歳だった母親を見送ったこともあり、今年は格別の新年のような気がしています。といって、特別のことは何もしないのですが。 例年通り、糸島の桜井神社に初詣に行っておしまい。でも、互いに親を抱えてい…