とび

ドシンという大きな音がしたので階下に降りた。
ガラス戸の向こうに鳶らしき小さな物体を見つけた。
戸を開けようとすると、
「行ったらいかん!母親が近くにおる。」
失神しているだけかもしれないと見守っていたが、いつまでたっても動かないので、玄関から回って裏庭に行ってみた。
バサッという音に驚いて見回すと、思いがけぬほど大きな翼が去って行くのが目に入った。
(ああ、いま彼女は、自分に子があったことを百%忘れた)