2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

媒介者としての孔子

白川静『孔子伝』より 「孔子が学んだものは、必ずしも古典ではない。古典の学は、このときなお未成熟であった。しかも孔子の学は「学んでときにこれを習う」〔学而〕というように、実修を必要とするものであった。孔子は、・・・身に危険の及ぶときでさえも…

井上靖『春を呼ぶな』

春を呼ぶな 井上靖春を呼ぶな、一抹も春を呼ぶな。 そのまゝでいい。 たゞ、しらじらと砕けてゐればいい。 そのまゝでいい。 たゞ、さむざむと拡がってゐればいい。 陸奥は吹雪だ。 津軽は吹雪だ。 二つの半島に抱かれた海峡! 堪へて、堪へて、ぢっと堪へて…

シンボルスカの詩

眺めとの別れ ヴィスワヴァ・シンボルスカまたやって来たからといって 春を恨んだりはしない 例年のように自分の義務を 果たしているからといって 春を責めたりはしないわかっている わたしがいくら悲しくても そのせいで緑の萌えるのが止まったりはしないと…

大乗仏教は徹底したリアリズムだ

大乗仏教は徹底したリアリズムだ2011/09/23 「有限性のなかにあって無限なるものと合一し、あらゆる瞬間に永遠であること」というシュライヘルマッヘルの定義した宗教の本質、宇宙の直観、全体への帰依の感情と意識とは、人間性の核心に巣くっていて、なかな…

ほんとうに自由なひと

2011/09/21 犬ともだちのMさんが亡くなった。まだ70歳だった。うちのチビたちを、リィの代から可愛がってくれた。しばらく見かけないなと思っていたら、一ヶ月ほど前から入院なさっていたのだそうだ。最近は奥さんがひとりでフウを散歩させていたのは、そう…

唐人形のモデルを見かけた

2100/9/19 GFsへ 昨日、報告し忘れたことが二つ三つあるので追加。 まず第一に、太秦に行く途中の地下鉄のなかで正面に坐った女性は、唐人形のモデルだったんじゃなかろうかと思うようなひとだった。顔立ちも体つきもふっくらとして、食い入るように見たいけ…

児玉桃ピアノ・ファンタジー1

2011/09/18GFsへ のっけから何だけど、いい旅だった。 もう10何年前になるのか、ヨーロッパ旅行をするときは、なんだか一か八かの命がけのような気分があった。10数年間放電しっぱなしだったので、まだ自分と対話することができるのかどうか。「もし、自分と…

「存在は義務だ(ファウスト)

2011/09/14 ニーチェは・・・徹底的に道徳上における2潮流を截別確立している。すなわち、いわゆる君子の道徳と奴隷の道徳とである。・・・換言すれば、貴族にとっての幸福は活動である。これらの貴族が、彼らの支配する平民の群れを誤解し、軽蔑することは…

須恵高校応援歌

2011/09/12 須恵高校応援歌那須三元作詞 轡田功一作曲 1,翔けよ 翔けよ 三郡の峰見下ろして 空翔ける荒鷲のごと 逞しき我らが力ぞ いざ翔けよ 須恵高 須恵高 勝利は我らに 2,立てよ 立てよ 岳城の尾根の狭間を 轟かす谷水のごと たぎり立つ我らが血潮ぞ …

姉は『草枕』那美のモデル

2011/9/8 前田利鎌『宗教的人間』のうち、岩波文庫にとられていないところを先に読んだ。その内容の話はいずれまたということにして、今日は 前田利鎌(とがま)の年譜とそれにもとづく秋月龍萊の解説の抜粋。 〃 前田利鎌、明治31年熊本県玉名郡小天(おあ…

天智帝に挽歌を献げた9人の女

2011/09/06 昨日の「上野先生を囲む会」は、いつも通り愉快で、気がついたら4時間近くもわいわいやっていた。家に帰り着いたのは、ひさしぶりの午前様。でもそれで助かった。ジョッキを空にしたのはいいが、そのあと何度も、目の前の光景がフィルムに火が移…

児玉桃を聴きにいく

2011/09/05 昨日はたまたまNHKEテレをつけたら、フォーレのレクイエムをやっていた。大好きな曲だ。司会をしている西村○○も、ほんとうに好きなのだというのが自然に伝わってくる。「フォーレはこれを自分のために書いたんです。」 先週、図書館にいって…

檀一雄『さみだれ挽歌』

檀一雄『さみだれ挽歌』 むかしわれきみと竝びて 書もたずそが手のうへに 質草のくさぐさうだき 銀杏生ふる朱門を入らず 学び舎の庭に這入らず よれよれの角帽かむりいづこぞや大川端の おどろしき溝蚊(どぶか)のほとり いき鬻ぐをみなを漁り 酒あふり命を…

渡辺順三『烈風の街』

2011/09/01 ひょうひょうと 電線にうなる風の音 身に沁みる音だ ひとり聞いている がらんとした広い街中を 冬の風が吹き抜けてゆく 砂塵をあげて 遠い遠い 春を待つ心のせつなさだ 荒涼とした野道の日暮れ 昭和十三年一月 吹きつのる烈風のなかを 遮二無二僕…