中国を正しくチョングォと呼ぼう

GFへ

 バンクーバー・オリンピックは、我が家では貴重な夫婦の話柄になっているが、世間ではどうなのか、さっぱり分からない。職場をみていると、最近の人は、自分のことのほうが忙しくて、あまり関心がないのかもしれないな、などと感じている。
 NHKの報道の仕方は逆に、自分たちだけで盛り上がっているようで、かえってしらける。アナウンサーが興奮してみせるようになったのは、Jリーグからかな。
 気になるのは、日本のユニフォームだ。子どもの頃は、日本というと、「白地に赤」と決まっていた気がする。だから、どの選手が日本選手かすぐに見分けがついた。いまは、何色かわからない上に、競技によってユニフォームがばらばらだ。なぜ統一しないのだろう。それが当たり前のことではないかと思うのだが、オリンピック委員会の考え方がさっぱり理解できない。
 ついでに、NHKはいまだに中国選手を日本式の漢語よみしている。ただし、テレビ画面は国際放送だから、アルファベットのつづりだ。漢語読みされると、つい、「どんな字だ?」と気になるが、フォローは一切ない。だったら、アルファベットのつづりにもとづくカタカナよみをすればよいのに。そのほうが、中国選手の名前も覚えやすい。
 もともと、いまだに中国の地名や人名を日本語式によむやり方に抵抗がある。国名自体がそうだ。第一、「中国」は、固有名詞じゃない。中国自身が、自国語は「中国語」と呼ばずに「漢語」と教えている。じゃ、中国とはどういう意味の普通名詞かというと、日本語に翻訳すれば、「帝国」が一番ぴったりしている。つまり、中国は、地球上に残っている唯一の「帝国」を自称しているわけだ。ソ連が瓦解したあと、そう呼ぶのにふさわしい国は、たしかにあの国ぐらいしかなくなったが。
 もう、変な日本語式呼び名は廃止しよう。そうしないと、日本はあの国から精神的に自立できない。自立していないから、国会議員たちが大挙して修学旅行に出かけたりする。ましてや、労働組合の幹部たちは、中国の幹部を「自分たちの仲間」であるかのように勘違いする。
 中国はチョングォ、北京はベイジン、胡錦涛はフ・ジンタオでいいじゃないか。そのほうがずっと外国らしいでしょ。(発音がまちがっていたらゴメンナサイ)新聞が漢字を使いたいなら、振りがなをつければいい。 現に、スピード・スケートで優勝した「モ」という韓国選手はどんな文字なのだろうと思っていたら、地元の新聞がふりがなつきの漢字表記で記事にしてくれていた。といって、その漢字を覚えたわけではない。今さら「当用漢字以外の文字も読めるようになれ」とは文科省のお偉いさんたちもおっしゃるまい。モ選手は「モさん」と呼ぶほうが本人は返事がしやすいはずだ。(もう10年ほど前に出あった韓国の小学生の名前が聞き取れなくて、「漢字で書いてみて」と頼んだら。「ハングルしかしらない」という返事だった。本当かどうかは知らないが、そんな時代なのだ。中国人の使っている漢字だって、もうただの記号になっている)
 韓国も中国も完全な外国だ、ということがまだピンときていない人がけっこういる。韓国人も中国人も赤の他人なのだということが分かっていなかったら、外交自体がなりたたない。80年前、中国はカンペキな外国だということが頭から抜けおちた男たちのせいで、日本は泥沼にはまりこんでしまった。そのことの恐ろしさを、たぶん、アメリカはこれから味わい始める。いや、すでに、日本人が陥った蟻地獄の光景が、いま、アメリカを初めとするヨーロッパ諸国にも見えはじめているんじゃないかなあ。
 日本人自身が、過去の苦い経験を生かして、中国とつき合っているのかどうか、Wには全然わからない。
 ジョージ・フリードマンは、2030年代には中国は、100年前と同じようにバラバラになりはじめる、と予想している。そうなるかどうかは別として、そうなったときに我々はどう対処すべきか、腹づもりはしはじめたほうがいい。
 少なくとも、もしそうなりかけた時、あわてて中国政府に手を貸そうなどとは考えないことだ。
                         WF
                             2010/02/18 15:03