ヤング@ハート

GFへ

 またもやたまたまだが、『ヤング@ハート』という映画をみた。
 『ブルース・ブラザーズ』、『今宵フィッツジェラルド劇場で』につづいて、これでわが遍歴が完結してしまったような気分になっている。2007年の作品だから、もうレンタルビデオ屋にいったら手に入るのではないだろうか。
 アメリカのある町のおじいちゃん、お婆ちゃんたちの合唱団を追いかけたものだ。中には老人ホームから練習に通っている人もいるし、普段はクラッシックばかり聞いている人や、愛読書はシェークスピアだという人たちが、RBやロックに挑戦する。あとは、見てのお楽しみ。最後は、ユンカーマンの『老人と海』とそっくりの終わりかたになるから、お覚悟のほどを。
 見ながら思ったもうひとつのことは、アメリカの歌の多様さだ。「痛い」「かゆい」から、「惚れた」「はれた」まで、いくら言っても言いあきない実質さを伴ったことばと、RBからロックまでのリズム。あれなら、いくつになっても歌えるし、聞きたくなる。
 あとひとつ思ったこと。
 西洋のものに接するときいつも違和感を覚えるのは、若者文化しかない、ということだった。今もそうだ。東洋には、とくに日本には、老人文化というものがある。最近の若い人たちにはもうそれが分からないけど。先住民の息子は、やっとその老人文化に参加できる年齢になってことが、嬉しくてしかたがない。・・・・が、若者文化の国には80や90になっても歌い続けられる歌がある。おれたちは、そのとき何を歌っているのだろう。・・・・

別件
 森澄雄の死亡記事をみた。名前だけ知っている人だった。その記事に、有名だという句が掲載されている。どれも、ただ気持ちが悪くてたまらなかった。
 まるで、一号の油絵をみているような気分になる。一号の画面のなかで完結しているものは、少なくとも俳諧ではない。が、気持ちが悪くてしかたがなかったのには、もっと別の理由がある気がする。その理由を考える必要がこっち側にあるのかどうかも分からないけど。