1ヶ月、13万5千円。

GFへ
 先日、最初の学校の同窓会の帰りにGとタクシーに乗ったとき、30代かと見える運転手さんが、「生活保護費より手取り収入が少ない。」と言ったのが気になって、インターネットで調べてみら、あるはあるは。色んなデータや意見がぼろぼろのっていた。
 運転手さんの言うとおりに、単身者の基準支給額は約13万5000円、税抜き。東京都の試算では4人家族で約35万円、などという例もあってびっくりした。ただし、お母さんと小さな子どもふたりで、約17万円。(いずれも家賃の補助をふくむ。今は自分が見たデータから高校の授業料や子ども手当の分が差し引かれているだろう。)現実にはぎりぎりだろうし、とつぜん収入がなくなったお母さんが子どもを預けて働きに出たとしても、いまの社会情勢では月17万円の収入を得るのは容易じゃない。不足分を申請するのは、子どものために当然すべきことだと思う。
 先住民の息子の場合は、実に安上がりにできているので、月に10万あったらラクラク生活できるだけでなく、年に2〜3回は遊びに出ていくこともできそうだ。ただし、それ以下だったら急に苦しく感じるし、あくまで単身だったらの話。「一人口は食えないけど、二人口なら食える」という言葉もあるが、それも時と場合による。
 問題は、運転手さんの場合だ。働き盛りなのだから、もっと収入の高い職場や職種を見つけようという気にはならないのだろうか。
 ずいぶん前になるが、やはりタクシーに乗ったとき、運転手さんが問わず語りに次のような話をした。
 彼は、ある家電メーカーの支店長をしていた。が、血を吐いて倒れてしまった。胃潰瘍だった。医者からは、「今度は死にますよ。」と言われた。家族に相談すると、奥さんは「私も働くから仕事を変えろ」、娘さんたちも「高校を卒業したら私たちも働くから。」と言ってくれた。で、退院後退職してタクシーの運転手になった。
 「世の中にこんな楽な仕事があったとかと、思いましたばい。もう他の仕事に就く気はありません。娘たちは独立したし、嫁さんはスーパーで働いてくれよるし、これ以上のことは何も望みません。」
 あの運転手さんの場合も、もう他の職を探そうという気はないのかもしれない。別にそれでも何とか食っていけるなら、それでいい。ただし、親を抱えているとか、他の条件が加わってきたらどうなるのかなぁ。今のままでも「私も仕事を続けるから、一緒に暮らそう。」という女の人が現れたら、もうそれで十分なんだろうけど。
 教え子で、年上の超かわいい人と結婚した奴がいる。結婚するまで、お嫁さんのほうが収入が多かった。なのに、結婚したとたん、「では、これからは貴方にお任せいたします。」と、さっさと退職してしまった。「すぐ子どもができるし、実は、恥ずかしいくらい大変なんです。」という。いい嫁さんをもらったな、と本気で励ました。

別件
 職場で『それでも日本人は「戦争」を選んだ』を読んでいて、日露戦争後の話で「アッ。」と思ったところがある。これは来週、「究極の選択」番外編として生徒に考えさせようかと思う。
 戦費がかさんだため、政府は臨時の税だったものを恒久化した。その結果、政府自身はまったく予期していなかった事態がおきた。それは何でしょう?
 ヒント 時は1906年のことです。
 なんだか、「亀がいつも背中にのせている飲み物なあんだ?」みたいになってきた。