リィ九回忌

GFへ
 11月23日(祝)リィの9回忌は、チビたちと雷山の真言宗別格本山千如寺に行ってきた。どうも最近、真言宗に縁がある。長谷寺真言宗だったし、数日前の日曜日に結婚披露宴をしたやつに至っては真言宗の尼さん。(系統はそれぞれ別のようだが。)
 先住民の息子の人生観を成人後に大きく変えた要素は三つある。一つは絶滅危惧種、それから三陽の生徒たち、そしてリィだ。そのなかで、もっとも「師」のイメージに近いのがリィ。・・・彼女から、生活するということの意味も、幸せということの意味も教わった気がする。
 何度も話したことがあると思うが、ある春休み、3〜4日休暇がとれた。そこで、毎日、朝のサンポ、昼のサンポ、夕方のサンポ。それだけでほとんど一日が終わった。とくに昼のサンポは、裏山に登って、いちばん上にある公園のような所で昼寝をした。「遊んどいで」。綱をはずしてやると喜んでどこかに跳びだしていく。こっちは桜の下でとろとろと眠る。ふっと気がつくと、少し離れたところで、リィが伏せをしてじっとこっちを見ている。「リィ来い。」ジャーキーをやって、「遊んどいで」。また、バアーっとどこかに走っていく。帰るときは「リィ!」と呼ぶと、どこからともなく、ザアーっという音とともに姿を現して先導していく。そのとき思ったことを永久に忘れない。「こんな毎日なら、あと百年つづいても全く退屈しない。」しあわせとはそういうことだ。
 雷山に登ったときもそうだった。ほんの気まぐれで雪の嵐山に三人で登った。リィが先導し、我々の姿が見えなくなると、あわてて戻ってくる。「先に行っていいぞ。」また一人でサアーっと登っていって、また下ってくる。だからリィはわれわれの倍のぼったことになる。・・・家に戻ってくると、小春日のさす裏庭にどでっと横になって夕飯まで死んだように眠った。・・「今日はがんばったね。」
 今日は、垣根に咲いていたサザンカを、リィの写真が飾ってある棚に生けて、お線香と水をお供えした。人生がどんなにシンプルにできているのか、彼女が教えてくれた。・・・そうか、人生のシンプルさを教えてくれた「師」には、絶滅危惧種のおっかさんと、わがおとっつあんをくわえておかないと罰があたるな。とくにおっかさんとリィは親友だった。「わしゃ、お前がいちばん好きじゃ。」
 だから、ピッピがリィの死後二日目に生まれたと聞いたとき、もう貰うつもりになっていた。
 明後日は、ピッピ8回目の誕生日だ。
 雷山観音は三度目だが、だんだん好きになっていく。今回は「ふらう」同人の学業祈願を頼んだかんね。なんとものすごい参拝客(紅葉真っ盛りで、バスが何台も来ていた。)のなかで、名前入りで祈願してくれたので、絶滅危惧種が目を丸くしていた。ついでに魔除けのお札もいただいたから、いずれお送りいたします。こんどFが来たときはいっしょに出かけよう。

別件
 『デフレの正体』(角川oneテーマ21)は、すぐに5冊くらい図書館に入れたほうがいい。