えーてる(2)

ぽかん
2011/02/24
君がまたくしゅんとやった
水気がぼくの顔にかかった
もちろん気がつかなかったふりをするけど
君のくしゅんが好き

なにか言おうとしてもごもご
ごにょごにょもぐもぐしているうちに
けっきょく黙ってしまう
君のもごもごが好き

ふたりっきりで何もしないでいるときがいちばん楽しい
ただぽつんとしているって最高だと思う
ぼくと君のぽつんが好き
地球のうえのぽつんが好き

ぽかんと浮かんだ風船を
ぽかんと口をあけて見ている横にいたら
ぼくの目もぽかんとなって
頭も胸もぽかん

人は君が何を考えているのかわからないと言う
ぼくは君が何を考えているのかと考えたことがない

人は君が時代からずれていると言う
ぼくは君には生まれてくる時代がなかったような気がする

人は君には現実感覚が欠けていると言う
ぼくは君を現実から守ってやりたい


ことばが真実だったことは一度もない
時代は世界を内蔵していない
現実なんて大きらいだ
それがほんものの事実なら意味なんかもともと含んでいない

真実はくしゅん
真実はもごもご
真実はぽつん
真実はぽかん

ふたりだけのぽかん

別件
 35年にわたる闘いがすんだ翌日は、まる一日寝ているつもりだったのに、朝7時半にぱっちり目がさめてしまった。昨夜の飲み会でほんとうに疲れがとれたらしい。
 4月からも学校か予備校にいくかもしれないけれど、もう闘わない。これからは退役軍人になる。
 落第坊主のションベン小僧がウチにきたとき、面構えが気に入ったので、「コーネル」と名づけたかった。残念ながら主導権の持ち主が「ガロ」がいいと結論づけてお蔵入り。これからは先住民の息子がみずから「コーネル」と名のることにするか。
 「今日お父さんはお仕事に行かないんだ」と感づいたたチビたちは、「サンポに連れて行け」とうるさい。「よし、行くか」。出かけると、「今日は遠回りをするぅ」。望み通りに遠回りをする。「走るぅ」。そんなことを要求したのは、いつ以来だろう。何かを感じ取っているのだ。3人で何度も走った。
 よほど居心地がいいのか、今津湾にはまだカモがたくさん残ったまま。土手には土筆が出放題に出ていて、すでに穂が開いていた。ただし、えらく冷え込んでいて、途中からは手袋をはめた。冬と春が混在している時期。
 これから、ほんものの春になるまでの期間をゆっくり楽しむこととする。
2011/03/02