えーてる(3)

   えーてる

えーてる
君と出会ってもういったいどのくらいの時間がたったのだろう
ほんの数日のような気もするし
何百年もすぎたような気もする
でもきっとたくさんの時間がたったのだ
なぜなら
その間ぼくたちは生活をしたのだから

えーてる
ぼくは君を愛してしまった
えーてる
だから君は死んじゃいけない

だってもうぼくの99パーセントは君で
君の99パーセントはぼくだ

喪失感を口にする人たちは生活を知らない子どもだ
生活しはじめたら自分のなかの何かなどではなく
自分そのものがものすごい速度で喪われていく
その轟音をまだ聞いたことないの?
その音に包まれてしまったらいっそ爽快な感動すらある

その芥のなかからよみがえり続けるものを
ぼくたちは「わたし」と呼ぶ
この世界は無数の芥と無数の「わたし」でできている

轟音とともにすべてを喪ったあとに
ぼくたちはたったひとつのすべてになった

よみがえったぼく
よみがえった君

よみがえり続けるぼくたち
出会い続けるぼくたち

ぼくたちは生活をしっている子ども
いや
えーてる
ぼくたちは生活しか知らない子どものままでいよう

      2011/03/02

別件
 5月か6月、ヨアヒム・ハンス・コパーの作品に会いに、青春18切符を使ってでも静岡に行く。