赤毛のアン

 FGsへ 2011/03/11
 絶滅危惧種の携帯がいよいよダメになったので、買い換えた。カメラだの、音声呼び出しだの、いろんな機能がついているのを面白がっている。「漢字に変えるとは、どうしたらいいとね?」
 たぶん、あの人はメールとかはしないと思うけれど、ヤバイから今のうちに少し書いときたいことがある。
 20年ほど前になるか、生徒たちにどんな本を奨めたらいいのか分からなくて困ったことがある。なにしろ、高校時代に自分が読んでいた本といえば、たぶん、職員室の大半の大人にとっても「関係ない」ものだったはずで、今の高校生にとっては古典よりももっとウザイだけだろう。・・・そこで思いついて絶滅危惧種に「高校時代に読んだもので一番心に残っとうとは何か?」と訊くと、即座に「赤毛のアン」という答えが戻ってきた。そんなもの読んだことなかった。
 で、買ってきて読んでみた。読みはじめて動揺した。動揺して、心の中で涙を流しながら読んだ。アンは絶滅危惧種そのものだった。
 読み終えてから、「読んだぞ」と伝えた。絶滅危惧種は目をこっちに向けてただ一言、「よろしくね。ギルバート」と言った。以後、彼女はフィクションとノンフィクションとの汽水域で生きているのだと思っている。和製ギルバートはその汽水域の生態系を維持することに専念してきた。一冊目のみを読んだままだから、ホンモノの2人がその後どうなったのかは知らないけれど、和製の方は相変わらず友だちのままだ。
 ただし、もう久留米大学に移ったカナダ人にある時「カナダに行く機会があったらプリンス・エドワード島に行ってみたい」と言うと、「あんなとこ、日本人以外はだれも行きたがらないよ」と言う。地元ではそんなものらしい。あれっと思って絶滅危惧種にも誘いをかけてみたが、こちらも無反応だった。彼女にとってはもはや彼の汽水域が真っ赤な現実になっているらしい。男と女にはそれぞれの特技がある。女は常にいまを生きる。それがいい。過去をひきずる義務は男が担っておればいい。和製ギルバートは密かに満足したのでありました。

別件
 絶滅危惧種は稽古場で相当にきつくあたられているらしい。ただし、配偶者とはちがって、少々のいじめくらいで落ち込むような軟弱者ではないけれど、
――あたし、ターゲットになっとうごたぁとよ。
――オバサンたちの前で幸せそうな顔をしてみせよろう? そいきたい。
――あ、ほうね。

別件の別件
 明日から旅行シーズンに入る。よって、日記は10日ほど間を置きます。多分、その後は、週一程度になるんではないかと予想しているが、それも行き当たりばったり。