親を食わせられるようになったら結婚します

GFsへ            2011/06/11

 昨日にひきつづき、今日は卒業生の結婚式。例のわが最高傑作のクラスの重要な成員のひとりだった。同じクラスの三人と同席。三人とも担任の薫陶よろしく最初の生き方から進路変更している。
 一人はいまふたつ目の職場で、「新しく営業所を作るから行ってこい」と石川県に放り出されて奮闘している。昨年末のクラス会のときには、「行ってみたらコンビニもない所でした」という親友(こいつは今年、中国に行かされていて出席できなかった)の報告だったが、「ありますよ。一軒だけだけど。」やっと部下が一人できたそうだ。醤油が口に合わないとこぼしていた。親は実にうまいそば屋をやっているから口が肥えているのだろう。いずれまた職替えをするかもしれない。
 二人目は、夢だった幼稚園の先生を5年やり、「やりたいことはやったから」あとは金になることを探すという。「その前にオーストラリアに行きたいから、いまはアルバイトを掛け持ちしています」彼らにとって一ヶ月のホームステイは、人生の原点になっているらしい。
 三人目は、「ほんものの料理人になりたい」と大学を中退してその世界に飛びこんだ。「一日17時間働きました。」披露宴では料理を口に運んではメニューを確かめている。「メニューをもって帰って、それを見ては味を思い出す練習をするんです」。まだ結婚しないのかと聞くと、親を食わせられるようになるのが先です、という。たぶん数年のちにはそんな時が来そうな気がする。
 隣のやつがテーブルの下に隠してビールを手酌している。「お願いしますくらい言え。ついでやるから」「いや、とてもそんなこと言えないっす。」
 新婦のところに行って、「ショウヘイの担任でした」と挨拶すると、「アラキセンセイ?」ちゃんと教えているし、それをしっかりインプットしている。近頃の若者はへんなところがわれわれより大人だ。
 豪華な教会つきの結婚式場で、宴会場は目の前が能古の島。なんともおしゃれだったから、「お前たちもここでやれ」と言うと、「とてもとても、たぶん500万ですよ」と言う。いや500万じゃきかなかったかもしれない。わが結婚費用が新婚旅行代を含めて25万だったのを思い出してしまった。「アタシも外国に行きたかったとよ。」
 あのむちゃくちゃだった男の子たちが、それぞれに大人になりつつある。もうしばらくは、この種の感動を味わえそうだ。

別件
 昨日の懇親会のとき、「いま白川静にはまっている」と話したら、「あらまあ、それじゃ」と紹介された。その人は白川静のDVD10数巻を「思い切って」購入したのだそうだ。いまは『中国の古代文学』を読みはじめたところだと言うと、「読んでいるというのがすごい。だってあれ難しいでしょう?」全然そうは感じない。ただ疲れる。足の裏まで脳みそとシナプスがつながっているんだなと分かるほど疲れる。
 全巻見終わったら回してもらう約束ができた。もし違法行為に成功したときは、注文に従って回します。