松田紀子句集『涼』
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北部九州はどうやら梅雨明けなのかな。急に暑くなった。
これからは、汗をだらだらしたたらせながら昼寝をすることになる。といっても、「汗をだらだら」以外はいままでと一緒なんだが。
それにしても、今年はいつまでたってもセミの鳴き声が聞こえてこない。
つくしんぼお浸しにして夫とゐる
西瓜買ふ時は夫がついて来る
2月だったか、舛さんとお喋りしているときに、「あの人の俳句がいい。誰だったかな?」と言い出した。いろいろ条件ばかりが出てくるのに、名前が出てこない。「ひょっとすると松田先生ですか?」というと、「そうだ。あの人の句には飾り気がまったくなく、凜としている。」
そうだ、陽子先生の歌の話からの流れだった。
国語部会の懇親会でその話をすると、「わたし、持っているはずです」という人がいて、貸してくれた。
昭和9年生まれ。舛さんとほぼ同世代か。学者一家に育ち、福岡でながく高校の教員をなさった。無津呂先生のお陰で、挨拶だけしたことがある。いや、それから、研修旅行でもご一緒したことがあったんだ。
夏合宿いつもカレーで始まれり
夏服になりて生徒はきはきす
新涼の黒板に書く蛇笏の句
黒板に書かれた句は、「芋の露・・・」か、あるいは「くろがねの秋の風鈴・・」か。やっぱり「連山影を正しうす」だな。
帰省子のまどろむ部屋に立ち入らず
夏痩せるものなく母透きとほる
俳句ちゃいいもんやな、と思う。「なんで、いいんだろう?」と思いつつ出会った句。
亡き父は子煩悩なり鴎外忌
蛇足になるかもしれないが、上の句にがばぁっとやられたあと思い出した句がある。
父母がゐてふるさとの祭りかな 黛まどか
そうだ。大昔、徳田惑堂先生に「黛まどかはいいですね。」と言うと、目をまん丸にして「いいですねぇ。」と応えてくれた。女っぷりの話なのか、俳句の話なのか、判然としないままだったが、たぶん、両方ふくめての話で、要するに、惑堂先生とは嗜好が一致していたらしい。
いちど、松田先生のことも話題にしてみたかったな。
別件
今年のインターハイは青森県。
修猷館登山部は、まず岩木山を踏破してから会場の八甲田に向かうそうだ。「帰りにねぷたを見られるかもしれません。」
全行程12日間。教員にとってのおおいなる夏休み。