魁皇56歳

2011/7/15
 昨日だったか、一昨日だったのか、なんだかうるさくて夜中に目がさめた。おかあさんがサッカーを見ているのだった。「勝っとうよ。」
 そのまま起き出して、最後までみて、せっかくだからと涼しいうちに散歩に出た。だれもいないつもりだったのに、今津湾のほうから仲良しのミッキーがもう帰ってきている。「はやいですねぇ。」「はい。サッカーを見てしもうたもんやから。」ミッキーのおとうさんは心底やさしい人で、ガロが最初からなついて甘えた数少ない人のひとりだ。ミッキー自身も心優しいやつで、家の前を通ると、「ワン」と声をかける。「ミッキーおはよ。」といったらそれで満足。ただし、散歩のとちゅうでみかけたときは、おとうさんが引っ張っても言うことをきかず、ガロやピッピと匂いを嗅ぎあうのを楽しみにしている。
 ラグビーもパンパシで頑張っているんだけれど、まともにニュースにもならない。
 昨日は魁皇の新記録達成を見ようとテレビをつけた。初日から3連敗と新聞で読んだときは、もうこのまま勝てずに引退するんじゃないかなと、つい思った。その魁皇が一勝をあげた翌日。土俵下で待っている表情をみてびっくりした。
 現在38才だというのだが、56才の男の顔とキャプションがついていても、魁皇のことを知らないひとなら何も疑うまい。そうだ、昔はこんなだったのだ。
 こどものころ。まだラジオの時代。ただし、我が家には、新聞という強い味方があったから大抵のひとより情報通だった。そのころ、相撲取りはやたらと老けてみえた。引退間際の関取は60才ちかくに感じた。普通の関取でも40代にしか見えなかった。
 ああ、こいつらはただの若造なんだ、と感じたのは千代の富士がきっかけだった。以後、大相撲は若者たち用の格闘技になっちゃった。千代の富士でも朝青龍でも、何十連勝しようが、ふーんでおしまい。
 こっちが歳をとって、相撲取りの年齢を追い越したからそう感じるのだと思いこんでいたが、ただの勘違いだった。千代の富士のころから、相撲取りじたいがガキっぽくなってしまったのだった。
 観客もまたそれに比例して変に若々しくなった。いや、もっとも若々しくなったのは、親方連中だ。若造の親方と、ガキどもの相撲取りでは、大相撲が面白くなくなって当たり前だった。
 魁皇はいずれにせよ、そう長くは現役でいられないだろう。その後継ぎとなるべき大人の顔をした相撲取りってだれかいるのかな?
 いま、いちばんの好みは、隠岐の海です。錦絵から抜け出てきたような姿がなんともいい。昔は、土俵入りにだけ出る相撲取りというのがいたそうだが、なるほどと納得する。

別件
 わが母校をはじめ、Gの母校も、Fsの母校もあっさり負けちゃって、今年の高校野球はなんだかまるっきり盛り上がっていない気がする。あるいは、スター選手があまりいないのかもしれない。
 そのぶん、パリーグはやたらとおもしろい。ダルビッシュが投げて、涌井が打たれて、金子がもどってきて、田中が10回を0点に抑える。──と辿っていて気がついた、ロッテには「見たい」先発投手がいない。西村監督はつらいな。──3画面方式の放送というのはないのかなとさえ思う。野球が面白いかどうかはピッチャーしだいだな。