思い出作り

GFsへ

2011/10/23 

 わがやの精霊の体重が、とうとう4㎏を割ってしまった。最盛期が5,3㎏だったんだから、ほぼ4分の3になったことになる。親に当てはめてみると45㎏くらいに減ったのといっしょだから、もうリミットを切っている。
 ただし、数日前、主治医に相談して薬の種類と量を増やしたら、あっけない位に食欲も増したし、ウ○コも健康的になった。しばらくは、これでいくしかあるまい。薬を増やしてよくなったら減らし、悪くなったら増やし、の繰り返しである。
 膵臓の病気を発症したのは2歳のとき、親はオロオロするばかりで、医者に言われるままにCTまで撮った。たしか3㎏を切っていたのではなかったか。がりがりに痩せて、本人もただごろっと横になって、虚ろな目をあけて寝ているだけ。お母さんにいたっては、「あたし、もう抱ききらんよ。」皮下脂肪がなくなって、直接骨に触っているような感触になっていた。それからは投薬のしつづけとはいえ、ともかく4年ちかくたって、まだ朝晩一時間の散歩に喜んで出ていこうとするのだから立派なものなんだが、「今年の冬を越しきるやろかね?」
 体力もずんぶん落ちた。体重が減ったピッピは車に勢いよく飛び乗るのに、ガロは抱っこしてもらうのをじっと待っている。元気なころは反動もつけずに膝に飛び乗っていたのにそれも出来ない。膝に上がりたそうにしているときは、脚を伸ばして床からの登り道を作ってやる。そうすると、もごもごその坂をよじ登ってくる。
 もちろん本人は何を考えているわけでもなく、今は、ドッグフードをおかわりして、ソファでうつらうつらしている。
 気の弱さは相変わらずで、人見知りの激しさも直らないが、それでも好きな人(ほとんどが男なのがおもしろい)もだいぶ出来て、その人をみかけたらピッピより先に近づこうとする。子どもたちには実にもてるのだが、取り囲まれるのはにがてだ。顔は、まだ5歳11ヶ月のくせに、思いっきりオジンくさくなってきた。だけど性格は可愛い。気の良さは最初から変わらないし、ピッピママに習って日本語もずいぶん覚えた。(ピッピが最近おぼえた日本語は、「ちがう」。前から来ている人が知り合いではないかと立ち止まって待つときがある。「ピッピちがう」と言うとまた歩き出す。ガロはまだ、そこまでの水準にはいかない。)自分の意思を伝えようとするようにもなった。散歩のとき行きたい方向じゃない方にピッピが行こうとすると、必死に足を踏ん張って「そっち嫌」と抵抗する。「ピッピ、今日はガロにつき合うてやれ。」
 まだ元気があるうちに思い出作りをしよう、という話になった。あまり寒くならないうちに、ちょっと遠いけど天草の海辺にある「ペットと泊まれる温泉宿」に行く。宿の前が砂浜で、プライベートビーチ感覚で散歩させることができるという。もちろん部屋食。親が新鮮な魚を腹一杯食っているあいだのおやつを何にするか、これからあれこれ見繕おう。
 家族4人で温泉宿にいくのは、たしか3回目。その前にピッピだけと行ったことが1回。リィーとは3回だった。人間だけで行ったときのことは曖昧になっているのに、精霊といっしょのときのことは、その表情まで蘇ってくる。

別件
 家の前を通るたびに、フウが大きな声で吠えるようになった。べつに警戒して吠えているわけではない。無視されるのがいやで、注意を促している感じだ。
 ひょっとしたら、こっちの姿をみたらお父さんを思い出しているのかも知れない。あるいは、どこかの母上と同様に、お父さんとおじさんのイメージがだぶってきて、呼びかけているのかも知れない。
──どこの犬つれて行きようとね? ぼくはここよ。