これなん都鳥

2012/03/15

 大発見があったので報告。
 今津湾を散歩中、鳩くらいの大きさの見かけない水鳥が30〜40羽泳いでいる。色は少し灰色がかった白。観察していると細長い脚が赤い。ひょっとしたらとつくづく見ると、少し曲がった嘴も赤。
 福岡市の鳥はユリカモメなんだが、いままで、それと見たことは一度もなかった。「なんや、かっこばかりつけやがって」と軽佻浮薄の博多ンモン(べつにワタクシが勝手に言っているわけではござんせん。江戸時代の″諸国××帳″にそう書いてあるのです。岩波文庫に入っています)の仕業をバカにしていたのだが、都鳥は博多にいるのです。それも我が家のソバに。
 証拠写真を撮ろうとしたが、うまくいかない。やはりホンモノのデジカメが必要だな。
 昨日は、sに勧められてホンモノの大発見映画を見てきた。ショーヴェ洞窟壁画。ラスコー洞窟からそう離れていないところで1994年に発見されたのだそうだ。そのこと自体を知らなかった。ラスコーよりはるかに古い3万数千年まえのものだという。映画館のなかで(映画館にこの前はいったのがいつなのか思い出せない。退職後はまちがいなく初めて)いろんなことを考えることができて良かった。ただし、映画の作り方はどうにも納得できないから、むしろ、DVDをレンタルして、パソコンで見るほうを勧める。見る価値は充分にある。単色壁画だったこともあるのかもしれないが、ラスコーの壁画が異郷的であるのに対して、ショーヴェのはわれわれの直系の先祖が描いたのではないかと感じる。
 説明つきで、その音も大きすぎて邪魔だったが、いちばん邪魔なのはBGMだった。そのせいで絵に集中できない。たまに音がしないときがあって絵に魅入られていると、とつぜん音声や意味ありげな音楽が流れ出してビクっとなる。自分たちで、「単に世界最古のものだというだけでなく、芸術としても最高のレベルだ」(実際にそうだと思う)と言っているくせに。いったいBGMが流れているまともな美術館がどこにありますか? もしショーヴェ洞窟にBGMが流れていたら、あんたたちは壁画に感動することができましたか? 
 自分たちが感動したものを、できるだけ自分たちと同じように鑑賞させようとはなぜ思わなかったんだろう。「商業映画」にするには、それなりの型が必要だったのかな。
 ですから、パソコンで、音はできるだけしぼって、集中して見てください。そのほうが効果的です。
 ただ、説明のなかでふたつだけ気に入ったところがあったので前もって紹介しておきます。
 ひとつは、その800メートルの奥行きのある洞窟にある絵は、ごく少数の者によって描かれたと推定していること。(たぶん、一万年以上の期間のなかで)。
 あとひとつは、終わりがけに、言葉だけで説明されたこと。撮影できなかったけど、いちばん奥に、少年の足跡とオオカミの足跡が並行して残っている。
──オオカミが少年の後をつけていたのか、オオカミと少年は友だちだったのか、それとも少年の足跡とオオカミの足跡とには5000年の隔たりがあるのか、それはまだわかっていない。
 「勘違いする能力」
 以前、ためらう能力、とか、忘れる能力(思い出す能力)とかをくっちゃべったことがある。あとひとつ、大切な能力、いや偉大なと言いたいくらいの能力が「勘違いする能力」なんだが、その話はまた来週にでもします。

別件
 チビたちと公園から帰りかけていると、近所のモモが散歩にきた。15歳くらいのおばあちゃん犬だけど小型犬なので今もかわいい。お父さんによると、もう目も耳も悪くなったけど、足腰はしっかりしていて階段を駆け上るそうだ。
 そのモモとすれ違うときに、「ピッピ、家。」と言うと、モモのお父さんが「犬に家とか言うたちゃ」と笑う。そうか、モモをあんなにかわいがっているのに、「犬だから」話しかけたりはしないんだな。「家」どころか「上」も「下」も、右左以外はたいていの日本語がわかる。モモの斜め前のエリ(ラブラドールとゴールデンのハーフ。これも15歳ほど。いちど腰が立たなくなったというので心配していたが、またお母さんといっしょに歩きはじめた)のお母さんは「このヒトたち、あたしたちの言っていること全部分かってる気がしません?」という。「ほんとうに、そうですね。自分に都合が悪いことは分からないふりをしているだけのような気がします。」
 昨日は、椅子に坐ってU23サッカーを見ていると、(あの人たちはヘタだ。同じテンポで、おなじようにパスを回しているだけ。イライラした。まあ、勝ったから良かったけど。)大魔王がいっしょうけんめい目を合わせようとする。膝に乗りたいのだ。「乗っていいぞ」と声をかけた途端、日本の母がさっと飛び乗った。「また息子に先を越されちゃかなわん。」気の弱い大魔王はうろうろするだけ。仕方がないから抱えあげて、お父さんの短い大腿部の上で二匹並んでお寝み。荒木家にはまた平和がもどってきました。