被害者側と同化したつもりだった権力者たち

2012/09/15
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 夏休みのやり直しもいよいよ終わる。けっきょく、ほぼ二ヶ月の飛び石夏休みだった。
 長かったような、あっという間だったような。が、いい夏休みだったような気がする。
 その間の自分で自分に出した宿題はだいたいできあがり。ぼちぼち配送いたします。嫌がらずに、受け取るだけは受け取ってください。本人としては、「自分たちの物語」を紡ぎ出しているつもりなのですから。
 これからはしばらくは読書の秋、そして音楽の冬。読みたいものも聴きたいものも、その準備だけはすでに(カミさんから、「頭がおかしくなりよおっちゃないね」と言われながらも)整っている。その間の沈黙が好きなのだけれど。このところしまりがなくなってきているから、どうなるかはわからない。そのときは、「あいつとつきあい始めたのが運のツキだった」と諦めてください。
 が、10月からは何年ぶりかに『こころ』を2年生でやることになったから、たぶんその間は、おとなしくしている筈です。そういえば信州の男は「ナミさんはオレの女の原型だ」と言ってきた。こちらは、ナミさんに出遇ったのが60ちかくなってから。大抵の大切なものごとは遅れてやってくる。でも、いつか生徒に言おうと思っていることがある。
 しあわせは先着順争いではない。最後にしあわせになった者がいちばハッピーなんだ。
 オレたちのしあわせも、まだ地平線の彼方にある。
 そうか。『夜よねむれ』最終章は、「眞実のむこう」という題名に決めた。いずれ郵送します。最終章まで「詩もどき」のまま。
 どうやら政権交代のとき。長かったな。
 とはいえ、次の選挙でどこかの党が過半数を占めるということは(橋本新党をふくめて)ありえないから、似たような混迷はまだまだ続きそう。それに、混迷がおさまったほうがジャパンはしあわせになる、という気もしない。
 南原繁『形相』を読んでいて、そんなことを考えた。
 民主党政権が最悪だったのは、自分たちが狙いどおりに権力の座を手に入れながら、それで加害者の立場にたったという認識がまったくなかったことだ。むしろ最後まで「被害者の味方」というカッコイイ立場にいつづけようとした。そんな人たちが権力者になってはいけない。こっちは、迷惑なのを通り越して憤りしか感じない。なぜなら、被害者とは自分に責任があるとは考えていない人たちのことだから。
 前にも話したと思うけど、東条英機の遺族によると、大命が下って家に帰ってきたとき、「オレには無理だ」と泣いたそうだ。なんというテイタラク。そんな男が威勢よく陸軍大臣をやっていたわけだ。無責任にもほどがある。が、そのことを公表した遺族たちも、自分たちが加害者側だったという認識がないのだと思う。
 選挙前最後の閣議決定原発全廃。それを、選挙目当ての決定だとは感じない。むしろ、かれらは「も一度、原点にもどる」ほうを選んだのだと思う。だったら選挙後は、市民政党と権力政党に別れるほうが自分たちのためだ。この数年でずいぶんフラストレーションもたまったことだろう。
 それにしても、尖閣諸島の国有化はお粗末すぎた。
 第一あれは、国益を考えての決定ではない。慎太郎が唐突におこなったパフォーマンス(それもまた稚拙だったが)に自分たちの面子を潰されたと感じてやっただけ。まったく国内向けのパフォーマンスに過ぎない。
 国有化をするのなら、当然あそこに国境警備隊に相当するものを常駐させるのが国際的な常識だ。韓国はその常識に従っている。が、現政権にはその意志も準備もまったくない。国有化して慎太郎の鼻をあかしたことで、すべてがすんだのだから、他にはなにもやる気はない。丸投げされた海保こそいい迷惑だ。次の政権は、尖閣諸島を地元自治体に無償譲渡しなさい。そのほうがこの国の場合は自然だ。そのうえで、中国や台湾への腹を固めた対処法をしずかに進めればいい。
 ともかくも、この秋に中国への修学旅行を予定していた学校は、すぐに行き先変更をするべきだと思うよ。といって、韓国や台湾というわけにはいかないから、シンガポールかどこか。ロシアならわりとねらい目かもしれない。値段のことはまったくわからないけど、ハワイとかになったら生徒は喜ぶんじゃないのかな。個人的には、九州の高校は北陸や東北、北海道のほうに行かせたいけど。
※新聞によると、尖閣国有化は、慎太郎だと何をやらかすか分からないから自分たちがきちんと管理します、というメッセージを中国に送ったつもりだったらしい。が、国有化の意味は日本がかってに決めるものじゃない。
 それより、もう習×平はゴルバチョフの役割を果たすことになるのかもしれないな。
 
別件
 犬を散歩させているお母さんにくっついて、2〜3歳の男の子が歩いている。
──××がウンコするから待っててね。
 男の子はしゃがんで犬のお尻をのぞきこむ。
──わあ、出よるゥ。
 お母さんが始末をして先にゆこうとすると、男の子がダダをこねて動かない。
──持っていくと?
──うん。
 男の子はウンコの入った袋を受け取ると、大切そうに握りしめてまた歩きだした。