2011-01-01から1年間の記事一覧

白川静『孔子伝』抜き書き(2)

白川静『孔子伝』抜き書き(2)●顔回は、孔子が道をもって許したただ一人の弟子であった。おそらく、孔子のいう仁を理解しえたのも、彼のみであろう。後年、魯にかえって顔回を失ったとき、孔子は「ああ、天、予を喪ぼせり。天、予を喪ぼせり」と長歎した。…

白川静『孔子伝』抜き書き1

白川静『孔子伝』抜き書き1●孔子は巫女の生んだ私生児であっただろう。荘子もまた巫祝の子であった。 ●もともと「述べて作らず」というのは、巫史の伝統であった。しかし、巫史の学には歴史意識がない。孔子はその学を、歴史的世界の場で、真の伝統に転化し…

変容を恐れない野見山暁治

2011/10/01 GFsへ 久しぶりに列車で筑後川を越えてきた。(久留米、石橋美術館)いつ見てもいい川だ。 野見山暁治の飯塚時代のものから今年のものまでを並べた回顧展だった。 ただし、最初に画集で見て、「この人はすごい」と感じたベルギーのボタ山のデ…

媒介者としての孔子

白川静『孔子伝』より 「孔子が学んだものは、必ずしも古典ではない。古典の学は、このときなお未成熟であった。しかも孔子の学は「学んでときにこれを習う」〔学而〕というように、実修を必要とするものであった。孔子は、・・・身に危険の及ぶときでさえも…

井上靖『春を呼ぶな』

春を呼ぶな 井上靖春を呼ぶな、一抹も春を呼ぶな。 そのまゝでいい。 たゞ、しらじらと砕けてゐればいい。 そのまゝでいい。 たゞ、さむざむと拡がってゐればいい。 陸奥は吹雪だ。 津軽は吹雪だ。 二つの半島に抱かれた海峡! 堪へて、堪へて、ぢっと堪へて…

シンボルスカの詩

眺めとの別れ ヴィスワヴァ・シンボルスカまたやって来たからといって 春を恨んだりはしない 例年のように自分の義務を 果たしているからといって 春を責めたりはしないわかっている わたしがいくら悲しくても そのせいで緑の萌えるのが止まったりはしないと…

大乗仏教は徹底したリアリズムだ

大乗仏教は徹底したリアリズムだ2011/09/23 「有限性のなかにあって無限なるものと合一し、あらゆる瞬間に永遠であること」というシュライヘルマッヘルの定義した宗教の本質、宇宙の直観、全体への帰依の感情と意識とは、人間性の核心に巣くっていて、なかな…

ほんとうに自由なひと

2011/09/21 犬ともだちのMさんが亡くなった。まだ70歳だった。うちのチビたちを、リィの代から可愛がってくれた。しばらく見かけないなと思っていたら、一ヶ月ほど前から入院なさっていたのだそうだ。最近は奥さんがひとりでフウを散歩させていたのは、そう…

唐人形のモデルを見かけた

2100/9/19 GFsへ 昨日、報告し忘れたことが二つ三つあるので追加。 まず第一に、太秦に行く途中の地下鉄のなかで正面に坐った女性は、唐人形のモデルだったんじゃなかろうかと思うようなひとだった。顔立ちも体つきもふっくらとして、食い入るように見たいけ…

児玉桃ピアノ・ファンタジー1

2011/09/18GFsへ のっけから何だけど、いい旅だった。 もう10何年前になるのか、ヨーロッパ旅行をするときは、なんだか一か八かの命がけのような気分があった。10数年間放電しっぱなしだったので、まだ自分と対話することができるのかどうか。「もし、自分と…

「存在は義務だ(ファウスト)

2011/09/14 ニーチェは・・・徹底的に道徳上における2潮流を截別確立している。すなわち、いわゆる君子の道徳と奴隷の道徳とである。・・・換言すれば、貴族にとっての幸福は活動である。これらの貴族が、彼らの支配する平民の群れを誤解し、軽蔑することは…

須恵高校応援歌

2011/09/12 須恵高校応援歌那須三元作詞 轡田功一作曲 1,翔けよ 翔けよ 三郡の峰見下ろして 空翔ける荒鷲のごと 逞しき我らが力ぞ いざ翔けよ 須恵高 須恵高 勝利は我らに 2,立てよ 立てよ 岳城の尾根の狭間を 轟かす谷水のごと たぎり立つ我らが血潮ぞ …

姉は『草枕』那美のモデル

2011/9/8 前田利鎌『宗教的人間』のうち、岩波文庫にとられていないところを先に読んだ。その内容の話はいずれまたということにして、今日は 前田利鎌(とがま)の年譜とそれにもとづく秋月龍萊の解説の抜粋。 〃 前田利鎌、明治31年熊本県玉名郡小天(おあ…

天智帝に挽歌を献げた9人の女

2011/09/06 昨日の「上野先生を囲む会」は、いつも通り愉快で、気がついたら4時間近くもわいわいやっていた。家に帰り着いたのは、ひさしぶりの午前様。でもそれで助かった。ジョッキを空にしたのはいいが、そのあと何度も、目の前の光景がフィルムに火が移…

児玉桃を聴きにいく

2011/09/05 昨日はたまたまNHKEテレをつけたら、フォーレのレクイエムをやっていた。大好きな曲だ。司会をしている西村○○も、ほんとうに好きなのだというのが自然に伝わってくる。「フォーレはこれを自分のために書いたんです。」 先週、図書館にいって…

檀一雄『さみだれ挽歌』

檀一雄『さみだれ挽歌』 むかしわれきみと竝びて 書もたずそが手のうへに 質草のくさぐさうだき 銀杏生ふる朱門を入らず 学び舎の庭に這入らず よれよれの角帽かむりいづこぞや大川端の おどろしき溝蚊(どぶか)のほとり いき鬻ぐをみなを漁り 酒あふり命を…

渡辺順三『烈風の街』

2011/09/01 ひょうひょうと 電線にうなる風の音 身に沁みる音だ ひとり聞いている がらんとした広い街中を 冬の風が吹き抜けてゆく 砂塵をあげて 遠い遠い 春を待つ心のせつなさだ 荒涼とした野道の日暮れ 昭和十三年一月 吹きつのる烈風のなかを 遮二無二僕…

泉屋博古館に行こう

白川静対談ノート2011/08/31●山伏の笈の中には首が入っていると言われたものである。──折口信夫── ●「書」は・・・伝達とか記録のためのものではなく、・・・もともと呪符として機能したものです。それが、「書」の本来のあり方で、だから、文字も本来、そう…

男は自動巻腕時計と同じだ

2011/08/28(日) 「男は自動巻腕時計と同じだ。働かなくなったら中身まで止まってしまう。」 白黒テレビ時代のベン・ケーシーの患者が待合室で横の女性に話しかけたことばである。なんだか妙に気に入って、ずっと覚えていた。けど、もう「自動巻腕時計」じ…

また誰かに会えるかもしれんよ

2011/08/24 3日ぶりに雨があがり、朝の散歩でチビたちは、ここ数日のウップン晴らしであるかのように、ウンコをしまくった。2匹で計7回。 朝飯を食い終えるとさっそく畑。 昨日、数十日ぶりにあつい風呂にはいったのに、今日は畑からもどってまた昨日の残り…

「游」は人が旗をもって外に出歩く形

2011/08/23白川静『回思九十年』(平凡社ライブラリー)対談篇より(続)○人麻呂が、はじめて歌を書きしるした。・・・日本人ではじめて歌を表記したのは人麻呂です。 ○屈原の『離騒』は、楚の国の巫祝集団が亡びていく過程を、過去の栄光とともにうたってい…

相聞歌は挽歌のあとで生まれた─山本健吉─

2011/08/21 白川静『回思九十年』(平凡社ライブラリー)対談篇より○大正という時代は貧しく暗い時代でした。米騒動、シベリア出兵、関東大震災がありました。 ○わが国の文学には、自然主義の作品などにも、女性的ななよなよしたところがあって、どうにも入…

オレのほうに勝ち目がある気がする

2011/08/20 昨日、高校福岡支部の同窓会。ホテル・ニューオオタニの大広間ぶち抜きで、千人ほど集まっていたそうだ。会員が3000人くらいということだったから、すごい参加率になる。震災の影響もあったのかもしれない。 参加者の中の大先輩は、もと西鉄の社…

インテリジェンスちゃ何か?

2011/08/17 Fから「能代商残念」のメールが届いたので、サヨナラ負けをしたことは分かっていたが、今朝の新聞をみてびっくり。高校野球はドラマチックすぎていかん。が、能代のピッチャーはわが好みだったな。いまどきの女の子にとってはどうなのだろう? …

やっとラジオから高校野球

2011/08/13 国会もやっと盆休みに入ったのだろう。朝からラジオで高校野球中継がはじまった。「あんたらね、国民にとってはどっちのほうが大切な情報かというわきまえさえ喪失しとろう?」 昨日か一昨日か、茨城代表藤代高校とあって、「藤代ちゃ地名か人名…

高校野球放送はやっぱりラジオでしょ?

2011/08/11 午前11時現在で室温は29度。やはり涼しくなりはじめているのか。それともたまたま今日が涼しいのかはわからない。ただ、畑に行ってきたら、コオロギがうろついていた。 サツマイモは豊作。そうねぇ。金額に直すと、たぶん5000円ぶんくらいにはな…

『ぼくの植え方』

2011/08/10 信州からは、「朝晩は長袖のほうがよくなってきた」というメールが届いた。 福岡はまだまだ暑くて、昼間は汗をかきながら眠っているのがいちばん健康的だと思うが、いま(朝8時半)はチビたちを散歩に連れていったときの(外出用の)恰好のままで…

名前あれこれ

2011/8/9 甲子園野球がはじまったが、東北・北海道の学校はまだどこも残っていないんじゃないかな。練習不足のせいとかとは関係ない気がする。 いまのところ、「スゲエ」と感じるピッチャーを見かけない。北海高校のピッチャーは「右の武田勝」のような投げ…

8月6日

2011/8/6 昨日から一泊二日の独身生活。今年になってはじめてじゃないかな。 20年以上まえ、中津のおっかさんが福岡に引っ越してくることになった時、「もうさみしい思いをさせんからね。」と言われた意味がわからなかった、という話は何度もした。その時…

卓球事情

2011/08/04 今日はなんとも暑い。そのせいか、わが家の精霊たちもおとなしいもんだ。 日が暮れるまではこのまま静かにしてくれているだろう。ガロの食欲が快復したのでホッとしている。 セミの声にばかり気をとられていたら、いつのまにか虫の声のほうがあつ…