2010-01-01から1年間の記事一覧

生命とは状況である

GFへ 昨年の夏、あれこれあれこれ考えつづけたことに、また続きができたので、報告。いちおう哲学史的な話です。 昨年話したのは、デカルトからはじまったいわゆる近代哲学で、カント、フッサール、ハイデッガーに何が受け継がれていったのか、ということ…

お嫁にいきたい相手みっけ

GFへ パリーグCS終了。最終戦は結局ほとんど見ないままに終わった。家にもどってチビたちを散歩に連れ出して、帰ってきたらもう0─4。「ぼろ負けよ。」と、恐がりの絶滅危惧種はチャンネルをかえてしまった。 ──楽しみにしとったけど、もう優勝パレード…

ことばの力─2─

GFへ Fはまた金山湖のプチホテルに行ったとか。 Gは島根県。 小学校一年生のときの同級生からは、──これからもたびたび登場しそうだから、MKと呼ぶことにする。──「嫁さんとイギリスに行ってきた」というメールが届いた。 われらが団塊の世代はいまあ…

ことばの力

GFへ 『小国寡民』からクメール・ルージュの話になったあと、気になることを思い出したので、またつづける。 ひと昔まえ、とは言っても10年までは経っていない。 テレビで「私たちは信じます。ことばの力を、」(なんと倒置法!) という朝日新聞のコマー…

When you get there. there's no there there.

GFへ いよいよあと14週でセンター試験。週1で「センターの日」を設定した。まずは、リービ英雄『thereのないカリフォルニア』。 生徒は大苦戦をしている。「一度も考えたことがないことは難しくて当たり前。ほんのちょっとでいいから考えてみよう。」と言…

リアリズムということ

GFへ 前回の「庄司さやかの演奏に個性を感じなかった」という話について、「だから天才だ」までのつながり方が乱暴な気がするので、付け加えます。とは言え、例によって昔話から。 大学にはいってみると自分で受講科目を選べるのが嬉しくて、あれこれ面白…

楽譜には肝心のことが書かれていない。

GFへ 昨日の新聞に庄司さやかが出ていたので、一筆啓上。 「楽譜には肝心のことが書かれていない。それは(どんな)音(色なのかということ)です。」その音を見つけるためには長い時間が必要だから、そういう演奏活動をしていく、という。 以前に書いたけ…

I am on my way from myself to myself

GFへ また今週も飯塚に来ている。 なにかないかと、2階にある弟の本棚をながめに行った。20数年間ほったらかしにしていた本棚である。中薗英助『裸者たちの国境』(昭和50年初版)。開いてみると、まだ読んでいない。さまざまの国のさまざまな事情を抱えた…

子路遇丈人

「子路従而後、遇丈人」 やっと今年の3年生も目標とするところまで辿りついた。「子路が、もう姿が見えない丈人にむかって言おうとしたことを分かりやすく説明せよ。」・・・・中には話し言葉で書いている者もいる。よかよか。 「先生、もひとつ子路の言いた…

イチローよ来年は2番を打て

GFへ プロ野球は一週間のお休み。 今日は、何やらまた大リーグ記録に並んだというイチローの話をします。 前にも書いたけど、野球中継を耳で聞いていると、いろいろ面白い話がある。 大昔、ラジオしか持たなかったころ、東尾と山田が投げ合う日があった。…

五島みどり&井上道義

GFへ 福岡に朝帰りをする列車のなかで、五島みどりのフランクを聴いている。 ずいぶん長いこと加藤知子のお世話になっていたが、いまはこの軽やかさのほうがしっくりくる。どちらが正しいのかという問題ではない。人間は変わる。変わらないつもりでいても…

世の中には二種類の人間しかいない。蕪村に狂う人と蕪村を知らずに終わってしまう人である。――高橋治

GFへ 明治以来の流行語や流行歌の一覧表は、あちこちでの話の材料になった。生徒自身が「なつかしい」という。そんなものかもしれない。別の場所でその話をしているうちに、てっきり年上だと思っていた人が実は年下だったと気づく、なんてこともあった。 自…

禁煙2週間経過。そろそろ限界

GFへ 今朝、びっくりすることがあったので、早速の報告。ただし、例によって昔ばなしから。 いずれ体が動きにくくなったら、『ヒトと暮らせば』という犬たちのつぶやきをはじめようと思っているが、それくらい彼らとの毎日は面白い。 今いるナデナデ姫ピッ…

禁煙2週間め

本日は雑談のみ なんとなく禁煙をはじめた。べつにぜんぜん苦しくない。ときどき口が寂しくなるので仁丹くらいの大きさに切ったガムをしゃぶる。それくらいなら授業中もOKみたいだ。ただ、これまで通り(いままで何回禁煙したことか。今年だけでもう2回目…

大相撲はアマチュアスポーツではなく伝統芸能だ―3―

前回だか前々回だかに紹介した、栃錦の足の親指をみて「強くなりたくない。」と言った若者は、曙じゃなくて高見山のジェシィー君だったかもしれない。そうじゃないと時代が合わない。 白鵬54連勝。 千代の富士を抜いちゃった。こうなったら今場所も全勝して、…

1ヶ月、13万5千円。

GFへ 先日、最初の学校の同窓会の帰りにGとタクシーに乗ったとき、30代かと見える運転手さんが、「生活保護費より手取り収入が少ない。」と言ったのが気になって、インターネットで調べてみら、あるはあるは。色んなデータや意見がぼろぼろのっていた。 運転…

杵の音&ムーザ&三味線

GFへ 今日は、「大相撲は伝統芸能だ。」の続きです。 子どもの頃、大相撲中継をドキドキしながら聴いていた。もちろんまだラジオに時代です。なぜドキドキだったかというと、好きになった栃錦はもう全盛期を過ぎていることを分かっていたからです。(たぶん…

プロスポーツと高校野球をごちゃごちゃにするな。

GFへ どうやらプロ野球のペナントレースは、「勝負あった。」ようだ。 柔道の世界選手権は見るチャンスがなかったが、知らない名前の選手のほうが活躍している。わが職場に限らず、世代交代の時期に入ったらしい。 この間、野茂投手の話をちょっとしたので…

降伏する能力

GFへ いつものように土曜日の夜を飯塚ですごしています。用心のために熱さましを持ってきたけど必要なかった。 テレビではいま東京カルテット。それはいいのだが(とても好もしい演奏です。)、その前のNHK番組の内容が気になって仕方なく、せめてと寝転…

トンボがえりで今年も暮れた

GFへ運動会が終わったあと、どうも熱っ気が取れていないらしい。冒頭の文句が頭のなかをエンドレス状態でぐるぐる回りしている。 「旅のつばくろ寂しかないか。俺も寂しいサーカス暮らし。トンボがえりで今年も暮れた。」・・・暮れて、だったかな。 山本…

俳句は佳句をもって最良とす。

秋はまづ目にたつ菊のつぼみ哉 去来GFへ 本日、九月九日の新聞ではじめて知った句だ。 なんと上品な色気が漂ういい句だろうと、うっとりとなった。俳句には、このような点描がよく似合う。 芭蕉の句には意味がぎっしり詰まっていて、意味同士がギシギシ音…

地唄教授

GFへ こんど絶滅危惧種が『地唄教授』の看板を出すことになった。お前には向かんと思うよと言ったが、決心は固い。「今のままでは伝統が途絶えてしまう。」 8月初には東京まで人間国宝の跡継ぎの演奏を聴きにいった。「まだまだ未熟やった。」先日は大分へ…

硫黄島戦記

GFへ やっと夜がすごしやすくなってきた。とは言え、明日は台風がくるかもしれないという。そのあとでも秋らしくなってくれればいいのだが。 今年の盆休みは、ほとんどスカパーをつけっぱなしでウツラウツラし続けていた。番組は戦争特集の実写もの。うえ…

最後の遊びを思いついた

GFへ 英語の教員から借りたドナルド・キーン訳の『奥の細道』(これは対訳になっていて取っつきやすい)をめくっているうちに、最後の遊びを思いついた。・・・・三人がかりで紀行文をつくろう。ただし、現代語。その途中に俳句らしきものを折り込んでいく…

昆虫記

たまたま見たテレビに小沢の顔が出てきた。いい人そのもののような表情を見つつ、「この人はもう完全にぼけているんだな」と感じた。もう、物事の根幹を判断する能力を失っている。だから、これから国家の運命を担おうと足を踏み出したときに、あんな「ぼく…

二の酉や

二の酉やいよいよ枯るる雑司ヶ谷 石田波郷GFへ ずいぶん前から、「思いだそう」「思いだそう」としていた句が先日布団の中でとつぜん甦ってきた。例によって、雑司ヶ谷がどこか他の場所でも同じじゃないのか、という話が出てきそうだが、「そうか、俳句と…

安田與重郎文庫(4)抜き書き―終―

『近世の発想について』補遺 詩人が心をこめて云ふことばは、一つないし多数のことやものの結果ではなく、つねに原因である。――もっと丁重に云へば、過去の結果の全部または一部をうちに蔵め、しかも全然別な明日の原因となるものである。GFへ 保田与重郎…

スピネットでグールドを

また学生時代の話になるが、最初に稼いだ金で中古のラジカセを買った。スピーカーは一つしかないけれど、ヘッドフォンだとステレオで聴けるというスグレモノで、ずうっと宝物にしていた。 そのラジオから、「××の自動ピアノの演奏が発見されたので」と、ベー…

安田與重郎文庫4抜き書き―3―

蕪村の位置 ・「春の暮れ家路に遠き人ばかり」と歌った蕪村の、心の祈り中の中には、悲哀と倦怠と浪漫と、さらに色情と、さういふ漠然とした詩人の家郷を失っ嘆きが悩ましいまでに描かれてゐる。 ・わが文藝の伝統は芭蕉の慟哭ののちに、蕪村の転変があった…

ヤング@ハート

GFへ またもやたまたまだが、『ヤング@ハート』という映画をみた。 『ブルース・ブラザーズ』、『今宵フィッツジェラルド劇場で』につづいて、これでわが遍歴が完結してしまったような気分になっている。2007年の作品だから、もうレンタルビデオ屋にいっ…