「アク」について

「アク」について 2017/04/17 「鎌倉幕府滅亡の原因は何か。この難問に対する日本中世史学界の最新の回答をお教えしよう。ズバリ〝分からない〟である。」 『応仁の乱』を感心しながら読んで「あと一冊呉座勇一のをなにか読もう。」 図書館から借りた『戦争…

GFへ

GFへ アマゾンのコンピューターは凄いと思う。 時々、「こんな本は如何ですか?」というメールが届くが、先日は、サロモン・マルカ『レヴィナス 生と痕跡』ときた。さすがは日本の暗号を解読していた国だ。──この著者はひょっとするとオレと似た様なことを…

KSへ

本日は洗濯日和。 大濠の再戦は11時から。この10年間見る番組はスポーツとBBCの刑事物のみ。(例外はNHKBSの『新日本風土記』。どこかの寺で、若い僧侶が泣き叫ぶように、仏をなじるかのように、お経をあげている一場面が紹介されていた。「これが本…

博工生の選んだ歌

博工生の選んだ歌 複数回答制 ○数字が得票数(『てのりくじら』を全部好きと答えた三名のぶんも加算した)⑧前向きになれと言われて前向きになれるのならば悩みはしない 『てのりくじら』/人の気も知らない 無責任な言葉でどれだけの人が苦しむのだろう/「…

博工生の選んだ俳句

博工生の選んだ俳句(上の○数字は投票数)※複数投票制21見上げればこんなに広い空がある 住宅(すみたく)顕信 すごく前向き。/心がすっきりする。/ふだんは当たり前すぎて見上げたりしないけど。/美しい。/とってもいい。/希望がある。/よく分からない…

あぶらやま不定期通信〈10〉

あ ぶ ら や ま 不 定 期 通 信 10 2017/3/15 とうとうまた一年がたってしまった。歳をとるにつれて時間の過ぎ方が速くなっている気がする。今はもうたぶん君たちの2倍の速さ。10年後には3倍? そして5倍〜10倍? この気まぐれな『あぶらやま通信』最終回…

森山優 感想文

Gへ メールを読んだ。 『法隆寺を愛した米国人』については、実はまったく同じ感想を持った。 アメリカは日本と並んで、「やり手婆文化」が瀰漫したいまの世界のなかで、希有なほどナイーブな国。──あとひとつ、スペインを加えよう。あのアメリカ征服はスペ…

KS

ずいぶん気が重たいが、メールをします。 気が重たい理由のひとつは、いま『日本はなぜ開戦に踏み切ったか』(新潮選書)を読み始めていることにある。(これは名著です)まだ半分ほどまでだけど、当時の日本中枢部の錯綜ぶりが実証的に活写されている。政治…

続・二十世紀の俳句 索引

私家版 続・二十世紀の俳句 索引 女性 二〇一六年 かすみ草やさしき嘘に人畢る 赤松螵子春愁や癒えて着られぬ服ばかり 朝倉和枝九十の端(はした)を忘れ春を待つ 阿部みどり女短夜や乳ぜり啼く児を須可捨焉乎(すてちまおか) 竹下しづの女童話書きたし送電線に…

小沢昭一

小沢昭一(昭和四年四月生まれ) 「俳句で綴る半生記」より 昭和四十四年 一月 スナックに煮凝のあるママの過去 二月 麦踏みや背負籠の中の粉ミルク ぎょうざ屋に盆栽の梅枯れてあり 三月 春の爐に雀焼く手のマニキュア 老蠅のちょっと飛んだる暖かさ 九月 …

『津軽』読書感想文

また新年が来ました。 じつは昨秋、あと一ヶ月弱で百歳だった母親を見送ったこともあり、今年は格別の新年のような気がしています。といって、特別のことは何もしないのですが。 例年通り、糸島の桜井神社に初詣に行っておしまい。でも、互いに親を抱えてい…

Tへ

Tへ。 今朝の新聞のコラムを読んでいて、「?」だったので追伸です。 昨年、「中高生新聞」が全国の教員からアンケートをとったところ、生徒に薦める本の第一位が『こころ』だったというのです。 わたしは違和感がぷんぷん。 そう投票した教員たちは、まと…

「一反田」以後〈Ⅱ〉

タカ女(じよ)とキビョウエ 北の国にタカという美しい娘がいた。 母を早くに亡くしたので、タカは父と弟のためにかいがいしく働いていた。 タカの家は武家(ぶけ)だった。 父と弟は戦場にいることが多かった。 戦場から戻ってくると、弟は姉に甘えてばかりいた…

「一反田」以後〈Ⅰ〉

ラン 体がすっと持ち上げられた。 これまで経験したことのない高さになったが、ちっとも怖くなかった。 あたかい胸に抱かれて喜びでいっぱいになったとき、 彼女は母親のことも兄弟のことも、すべて忘れていた。 少年は子犬をランと名づけた。 「ラン」 そう…

油山不定期通信〈7〉

あ ぶ ら や ま 不 定 期 通 信 7 2016/10/25 先日、福岡出身の大隅良典さんがノーベル賞を受賞したというニュースを見て、「高校はどこだ?」。福岡高校の出身だった。「修猷館は悔しがっているだろうなぁ。」でも、修猷館からは平和賞ぐらいしか出そのうに…

油山不 定 期 通 信〈6〉

あ ぶ ら や ま 不 定 期 通 信 6 2016/10/10 一学期の終わりに、植物の在来種と外来種の違いに触れたので、今回はその続きから始めます。 その植物が在来種か外来種かを考えるとき、わたしはまず、「すみれ」は在来種、「コスモス」は外来種、という具合に…

ペリリュー・沖縄戦記

GFへ 敷地外に設置されている喫煙所で校長と一緒になった。 口をきくのは三度目。 一度目は歓迎会の時。二度目は野球公式戦のスタンドで。「私は生徒たちに自信をつけさせたいのです。」 ──我々は、四年間遊びながら、少しずつ社会人になる覚悟をきめて行き…

あぶらやま通信〈5〉

あ ぶ ら や ま 不 定 期 通 信 5 2016/09/05 わが母親は現在99歳。生まれ故郷にあるグループ・ホームで穏やかに暮らしていらっしゃる。 もう言葉は出て来ないが、こちらの言うことはほとんど分かっている。数ヶ月前だが、母親のベッドの脇でスタッフとお喋…

ピースメイカーズ・ノート

雲雀よ!〈番外編〉マーガレット・マクミラン『ピースメイカーズ』上巻 読書ノート フランスの18 〜30歳男性のうち約四分の一が死に、約半数の負傷者を出した第一次大戦のあと、(ベルサイユ)講和会議の三巨頭は、それぞれ自国に何かをもたらそうとしていた…

おけさおけさで夜が明ける

mfへ 月がわびしい路地裏の 屋台の酒のほろ苦さ 知らぬ同士が小皿たたいてチャンチキおけさ おけさ切なや やるせなや 今月の元気カフェで、お婆ちゃんたちが手拍子をとりながら歌うために『チャンチキおけさ』を提案した。作戦は大成功で、歌い終わったあと…

T様

T様 遠雷が聞こえてきます。 「はやく一雨こい?」 子どもの頃からの習慣で、夏に窓を閉め切るのが苦手です。ということはエアコンが苦手ということになります。梅雨明け以来、わずかな風が入ってくるのを頼みに暑さを凌いで参りました。 『一反田』発行につ…

シュレジンガーと山川健次郎

MFへ 長くなりそうなので、入力します。このほうが書くより早い。(それに訂正を加えやすい) 友人の言った会津の話は本当だと思う。 白虎隊の美しく悲しい話だけではなく、会津戦争は実に凄惨なものだったらしい。どちらが先かは知らないが、味方の死体か…

雲雀よ! 〈9〉

雲雀よ! 〈9〉 「荒木先生のバカ」 一年○組○番 ×××× ぼくは、荒木先生はバカだと思う。 なぜなら、先生がしている昔話を聞いていると、けっこう頭が悪かったということが分かったからだ。そして、なかなか教えるのがへたくて、分かりづらいからだ。 なので…

雲雀よ!〈6〉〈7〉〈8〉

雲雀よ!〈6〉 一足はやい週末。快晴の午前中、いつものようにコンビニに行って百円コーヒーを買い、こぼさないように気をつけながら数十メートル持ち歩いてベンチに座り、今津湾を一望しながら「ふう。」至福のとき。 その途中、街路樹のツツジのなかを覗…

あぶらやま不定期通信〈4〉

あ ぶ ら や ま 不 定 期 通 信 4 2016/07/05 60を過ぎてから「歯は大事だなぁ。」と実感するようになった。 君たちにはまだ分からないかも知れないけれど、私たちは舌でだけ味わっているのではない。じつは歯でも味わっているのです。歯の調子の悪いときの…

あぶらやま不定期通信〈3〉

あ ぶ ら や ま 不 定 期 通 信 3 2016/06/09 前回『ドラえもん』を引用してて思い出したことから始めます。(実はあとひとつ理由があるんだけど、それは、おいおい分かる) 小松左京(1931〜2011)というSF作家がいた。『復活の日』『日本沈没』はベストセ…

あぶらやま不定期通信〈2〉

あぶらやま 不定期通信〈2〉 2016/05/26 朝起き出したら、まずはインスタントコーヒーをマグカップいっぱいに作って玄関先のベンチに座り、新聞を読む。ホークスが勝った翌朝は丁寧(テイネイ)に読み直す。負けた翌朝は郵便受けから取り出す気にもならない…

あぶらやま 不定期 通 信〈1〉

あぶらやま 不定期 通 信 2016/04/25 これから一年間、国語の勉強をしていきますが、ときどき思いつくままに、こんなものを発行します。気まぐれなものだから気楽に読んでくれたら嬉しい。 第一回目は4月22日に書き始めました。犬の散歩を終えると玄関先…

雲雀よ!〈5〉

雲雀よ!〈5〉 先日NHK『新日本風土記』かなにかの再放送で、越中八尾の風の盆を見た。いや、その現場に立ち会っているみたいだった。「行きたい。でも行けない。」 ポルトガルのアルファマに行ったとき須田画伯が口走った「ワッチはここで死にます」は…

雲雀よ〈3〉〈4〉

雲雀よ!〈3〉 卒業式以来の自宅療養でどうにか頭も心も軽くなってきた。一年間の蓄積疲労と先月の心労とがこたえたようにも感じるが、五年ぶりにウツがぶり返してきている感覚もある。そう思っただけで憂鬱だ。…………また、ひきこもりになるのか。…………若い頃…