いくら読んでも偏差値は上がりそうにない国語プリント今月の詩 2016年3月 新聞のちいさな記事に(新聞とネットのいちばんの違いは、新聞は自分にとってはどうでもいい情報だらけなので、自分の知りたいことを探さねばならないこと。生きていくうえではこの…
雲雀よ!〈1〉 最高気温がマイナス3度の福岡なんて想像できなかったが、現実になったみるとけっこう面白かった。 学校についたら「あーら先生、いま休校と決まりました。」 せっかく出てきたから午前中は学校で遊ぶと決めて、一室にストーブを二つつけて授…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない国語プリント今月の詩 2016年2月 「ずっと18歳になるのを待っていた。」大坂なおみ。 ──初のグランドスラム全豪オープンテニスで3回戦に進出。予選から数えて6試合目で元チャンピオンに完敗した。── 「夕焼け小焼け…
洲うた 補遺 どうしようか(書くか書かないか)と気になっていたことを二つ付け加える。 「白馬(あをうま)は交尾を経験していない成体馬」のことだという説明に、「そういう見方もあるのか」とは思っても、「でもそれは青馬の説明にはなっても白馬の説明に…
〈洲うた〉9 終章は頭も胴体もない尻切れトンボの脚本になる。 時は昭和二十一年はじめ。 引き揚げ船のなかで知り合った男から「好きなだけ居ていい。酒だけはいくらでもある。」と言われて、酒を飲むこと以外に何もしていなかった所に幼なじみの同級生から…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない学習プリント 今月の詩 2016年1月 新年おめでとうございます。 また新しい年がやってきた。 君たち若者にとっては、あるいは「それなん?」かも知れないけれど、68年目の新年は、それだけで感動的なものがある。(感…
洲うた〈7〉 劇中劇の抜粋は終わったのだが、まだ本体の構想が出来上がらないので、一、二回まわり道をする。いわば幕間講談です。 グループホームで不思議な夜を過ごして戻ってくると、テレビで明大卒の男の第2回目の一筆書き山行があっていた。去年利尻…
洲うた〈5〉 これはもともと戯曲として構想していた。が、どう頭をひねっても舞台劇にもラジオドラマにもならない、ということを家族に話したら、「なら、映画にすればいいやん。」そうか、とプランを練り直したが、やはりひとつの形にする能力はいつまで経…
洲うた〈3〉 前のところを書いていて思いだしたことから始める。 二十数年前、今の家のために地鎮祭をした時、近くの飯盛山の神主が来た。そして、まず地面に向かって「ウォーッ!」と吠えてから祝詞をあげた。面白かったので、あとで訊くと、「地の神様に…
『洲うた』〈Ⅰ〉 二〇一五・十一・八 板垣正夫先生の思い出に 暗闇を裂して甲高い声が響く。──はっはぁー!。 世をしろしめす天よ、われらに喉うるおす水を、はっはぁー!。生きとし生けるものの 命をつなぐ水を、はっはぁー!。 はっはぁー!。 おびただし…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない学習プリント 今月の詩 2015.12月 二年生がシンガポールに行っている間に、小倉からフェリーに乗って四国の川之江に行ってきた。平家落人伝説のある切山地区の集落から離れた森の中にあるという「立ち木仏」に会って…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない学習プリント 今月の詩 2015.11月 夏休み前、図書室のテーブルの上に見つけた、野見山暁治『空のかたち』を読み続けている。 野見山さん(高校の大先輩なのでそんな呼び方をしているが、去年文化勲章を受章したエラ…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない学習プリント今月の詩 2015.10月 シルバーウィークに入りたての夜にあったラグビーW杯南アフリカ戦を見ましたか? 過去二回優勝している南アフリカに対して、W杯全体で過去一勝しかしていない日本が真正面から…
FMGへ 久しぶりでダラダラおしゃべりをしたくなった。 お付き合いいただければ幸甚。 実は急な時間割変更で3時間の空きができたのです。 ことは、二学期最初の授業で起こった。 二年生の教材は中西某『日本人の顔』という、山崎正和『水の東西』(噴水と鹿…
今月の詩 2015年9月号「懐かしい筑前の言葉」募集中 教員になりたての頃、「あのひと上手いねぇ。」という生徒のことばが耳に入ってビックリしたことがある。「若者は天才だ!」 名詞の「上手」に「な」をつけて形容動詞として使い始めたのはいつ頃からなの…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない国語学習プリント今月の詩 2015年8月小さなヒロイズムなんか捨てろ。 先月末、とつぜん君たちのひとりから「先生はどうして色んなことを知っているんですか」と訊かれた。 私の知っている量は実は丸っきりたいしたこ…
渡辺松男 歌集 『蝶』以前 抄録寒気氾濫(一九九七)重力をあざ笑いつつ大股でツァラトゥストラは深山に消えたふくろうのごとき月光ほおほおと潤いおびて樹海にそそぐ恍惚と樹が目を閉じてゆく月夜樹に目があると誰に告げまし一本の木が瞑想を開始して倒さる…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない国語学習プリント今月の詩 2015年7月 選挙権年齢を18歳に引き下げる法案が国会で可決された。 いつもは小学生の口喧嘩みたいなことばかりやっている国会議員たちも今回は意見が一致したらしい。 去年、君たちの先輩に…
MFMへ たった3クラスの採点にまる三日かかった。ちょっと前なら一日に4〜5クラスを採点できたのに。 前回か前々回、一年生にもとの高校の教え子の娘がいるかもしれないという話をした気がする。その生徒が、中間考査は普通の点数だったのに期末考査で突然…
枡野浩一 てのりくじら前向きになれと言われて前向きになれるのならば悩みはしない殺したいやつがいるのでしばらくは目標のある人生である。無理している自分の無理も自分だ、と思う自分も無理する自分肯定を必要とする君といて「平気平気」が口ぐせになる本…
折口信夫が選んだ俳句(英訳俳句草稿) 吉川五明(享保三年沒)青草や。人里ちかき 冬ばたけ 残っている緑の草 村の声が聞こえたり聞こえなかったりする 冬の畑中の道 夏目成美(文化十三年沒)落葉して、日向に立てる榎かな行く春を 鏡に怨む一人かな 釈 乙…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない国語学習プリント今月の詩 2015年6月 珈琲が好きだ。ただし普通、珈琲愛好家というとインスタントコーヒーを軽(かろ)んずる人が多いが、老教師の朝の一杯はかならずインスタントコーヒー。朝はチビたち(わが愛する…
渡辺松男 歌集 抄録 蝶 天命なりと立ち止まりたるものが樹で立ち止まらず歩いてゐるのが俺だ 亀鳴くはきみにもぼくにもびめうにてそのびめう互(かたみ)にわかりてゐたり 微妙 微妙 くらやみに亀鳴くはいかなかなしみか闇浮のそとゆ漏れてくるこゑ 木にひかり…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない国語プリント今月の詩 2015年5月 テレビを見ていて知ったこと。今年はラジオ放送開始90周年(放送開始は3月19日)なのだそうだ。 ──まだそんなものなのか。 と思った瞬間に重大なことに思い当たった。 ──今年99歳に…
いくら読んでも偏差値は上がりそうにない国語学習プリント今月の詩 2015年4月 人ゐても人ゐなくても赤とんぼ 深見けん二 これから一年間国語の勉強をしていきます。 私が教員になったあと、40年ほど前にセンター試験が始まった。(私の高校時代にはセンター…
安藤礼二『折口信夫』ノート第一章・第二章 ○折口は自らの最後をすべてが消滅するゼロの地点に定める。・・・すべてをゼロにまで破壊し尽くし、その破滅の果てに新たなものの萌芽を見届けること。ゼロは新たなものの可能性を潜在的に孕んだ生成の場でもあっ…
私家版 続・二十世紀の俳句 索引 男性編 二〇一五年保存用 独房に釦(ぼたん)おとして秋終る 秋元不死男蛇女みごもる雨や合歓の花 芥川龍之介啄木忌いくたび職を替へても貧 安住 敦弱虫のしかも男や葱坊主 阿部完市 夜の?ねむれば遠き妻にあはん 同校門を出で…
続・二十世紀の俳句 索引 女性編 かすみ草やさしき嘘に人畢る 赤松螵子春愁や癒えて着られぬ服ばかり 朝倉和枝九十の端(はした)を忘れ春を待つ 阿部みどり女短夜や乳ぜり啼く児を須可捨焉乎(すてちまおか) 竹下しづの女童話書きたし送電線に雪降る日 飯島晴…
私家版 二十世紀の俳句 一人一句 二〇一五年編輯病床やおもちゃ併べて冬籠 正岡子規 一八六七〜一九〇二 倫敦にて子規の訃を聞き 手向くべき線香もなくて秋の暮 夏目漱石 一八六七〜一九一六 未来ひとつひとつに餅焼け膨れけり 大野林火梅の花この世ばかりを…
歌集 山西省 宮 柊二 序 何草不黄 何日不行(毛詩) 昭和十四年 ?の声 姉同行?のこゑ怪(け)しく止みつつ音せぬを寂しと思(も)ひつつ墓地抜けて来(き)つ 大陸へ立たむ日近し朝夕に空茜(あかね)してしづけきを誰にかは告げむ征(た)つ日ぞ近き昭和十五年飯盒の…